『好きなものに囲まれて生きていきたい♪』活字三昧

四国は死国。
お遍路を死んだ年の数だけ左に巡ると、
その者が蘇る…。

『死国』 坂東眞砂子

初版が1996年。
持っている文庫が4刷、1997年。
学生時代に読んだ衝撃。
およそ30年振りの再読。

本作品、
実写映画化も果たしております。
しかし個人的には、
本で読むことをオススメしたい。

だって文章力がスゴい!

四国の矢狗村の風景描写も、
登場人物の心情や会話も、
少しずつ不穏を感じる日常も、
人ならざるものの気配も、
すべてが生々しく映像となって、
少しずつ読者の心を侵食してゆく。

物語後半になると、
台風の山崩れの如く、
決壊した川の如く、
物語の濁流にのみ込まれてゆく。

そして読後…
死んでいても、
生きていても、
やはり血迷った人間は怖い。

ラスト1頁まで完璧。

「因習」をモチーフにした坂東作品は、
長編も短編も面白い。
少しずつ再読していきませう。


BGM:須川展也『SAKURA』
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